動画コーデック (CODEC)

コーデック(CODEC)


単にコーデックと言うと、かなり幅広い意味を持つが、音声付動画の場合には、動画コーデック、音声コーデックの事を指す。 ここでは、動画コーデックについて述べたいと思う。

コーデックとは元々、COder、DECoderを略した言葉で、符号化とそれを復元する機能を併せ持つソフトウェアや機器を表す。 また、圧縮(COmpression)、伸張(DECompression)を略してCODECと呼ぶことも多々ある。 いずれにせよ、非常に大きな情報量を必要とせざるを得ない動画ファイルを、様々な工夫によって、より少ない情報量に圧縮し、出来るだけスムーズに復元して再生する。 この2つの機能を有するプログラムが動画コーデックである。 基本的には、圧縮するためのエンコーダーと復元するためのデコーダーがセットになっており、二つを合わせて、動画コーデック(CODEC)と呼ぶ。

個人的な意見ではあるが、コーデックを評価する際には、以下の点が重要になると思う。

  1. エンコード所要時間
  2. 再生時のコンピュータへの負荷
  3. 画質・容量対画質

3の画質に関しては、単に良い悪いと言うより、作品による向き不向きや、好みによる部分が大きいかもしれない。


良く利用されている動画コーデック


とりあえず、現在良く利用されていると思われる動画コーデックを列挙してみる。

いずれもMPEG-4を元にしており、MPEG-4系や亜種などと呼ばれたりもしている。 MPEG-4はMPEG-2とは異なるアルゴリズムによって、より高い圧縮率を実現できる規格。 ちなみに、中間のMPEG-3はMPEG-4に吸収されたため、それこそ本当に存在していない。

次の項から、それぞれの動画コーデックについて、簡単に述べてみたいと思う。


DivX


公式サイト:http://www.divx.com/

読み方は、ディヴエックス,ディベックスなど。 恐らく、一番有名。 DivX, Inc.社により提供されている。 常にバージョンアップが行なわれ続けているのも特徴の一つ。 2006年7月の時点では6.25が最新バージョンであると思われるが、 実際には、過去のバージョンの物も良く使われている事から、必ずしも最新バージョン=最良と言うわけでも無さそうである。 とは言え、DivX3や4を未だに使っているという話は聞かないので、バージョンアップが無意味な訳ではなく、僅かなバージョンアップでは、必ずしも全てが良くなるとは言えない。と言う事だろう。

追記: DivX3.11がMicrosoft社のMS-MPEG4 V3の海賊版であったと言われている。 詳細はともかく、その後、DivX4,5,6と独自に開発し、リリースしてきた。 上記の海賊版問題やCODECにアドウェアを付属させていたり、と言った事などから、良くない印象を持っている人もいる模様。 それでも、やはり利用者は多いのか、数年前から、AVI形式のDivXファイルをTVで観られるDVDプレイヤー(DivXプレイヤー)が商品化されたりしている。


XviD


公式サイト(ソースコードのみ公開):Xvid

バイナリ公開:Nic's XviD Binaries & Paraphernalia

エックスブイアイディー,エクスヴィッドなどと読むらしい。 DivXを知っている人なら、これもご存知だと思う。 DivXと同様、常にバージョンアップは行なわれている。 しかしながら、一番の特徴はオープンソースである事だろう。 オープンソースというのは、簡単に言えば、プログラムのソースが公開されていて、それを利用して新たなプログラムを作成し、公開して構わないと言うものである。 ただし、そうして作成したプログラムもまた、ソースを公開しなければならない、などと言った幾つかの規定がある。 いずれにしろ、様々な人々が開発に関わっていく事で、より良いモノや、派生物が生まれるという利点はあるだろう。

コーデックの特徴としては、設定項目の多さが挙げられる。

追記: DivXを逆から読むとXviDとなる辺り、当然、DivXと少なからず関係がある。 それは、DivX, Inc.社がDivXNetworksと名乗っていた頃、 DivXをオープンソースで開発する動きを見せた事があった。 事実、そのプロジェクトでは一定の成果を得た。 しかし結局は、その成果をも利用しつつ、現在の様な商用製品路線へ移行する事となり、 その際、この方針に反発したプログラマー達は、オープンソースによる開発を続け、XviDが生まれた。


WMV9 VCM


配布ページ:Microsoft Windows Media - Windows Media Video 9 VCM

WMV9のコンテナ形式は、通常WMVで、(動画:WMV9,音声:WMA9).wmvというのが一般的である。 これのAVI版がWMV9 VCMと言った所で、(動画:WMV9,音声:MP3など).aviといったかたちで利用できる。

ファイル形式をAVIにすると、Windowsの標準のムービー形式である事からか、 様々なソフトウェアにおいて、とても扱いやすく、そもそも対応しているソフトウェア自体が多い、 という利点がある。

コーデックの特徴としては、 簡単にそれなりに高い画質を得られるが、エンコード所要時間が長い。

追記: 策定中のMPEG-4規格を取り入れつつMS-MPEG4 V1,MS-MPEG4 V2,MS-MPEG4 V3と独自に開発、その後、WMV7,WMV8,WMV9と開発が続けられた。 WMV9のデコーダー部分は改良を加えられたVC-1として、次世代DVDであるHD DVDおよびBlu-ray Discに採用される事となった。


x264(H.264)


x264:http://x264.nl/

ffdshow公式:http://sourceforge.net/projects/ffdshow

ffdshow配布:Cow&Scorpion

x264はH.264エンコーダーの一つであり、無償で利用可能。 注意点として、デコーダーがセットになっていないため、再生時にはffdshowもしくはCoreAVC等を利用する必要がある。 一般的に利用されるようになったのは、比較的最近と言える、新しいコーデック。 H.264は、すでに利用が始まってはいるが、将来的には、比較的解像度の低い携帯電話,ポータブルゲーム機から、高解像度のHDTVまで、 映像関連全てに等しいレベルでの利用を想定しているらしい。

コーデックの特徴としては、 圧縮率が高い。特に低ビットレートに強い、と言う印象を受ける。 ただし、CPU負荷は高い。

追記: H.264はMicrosoftのVC-1と同様に、 次世代DVDであるHD DVDおよびBlu-ray Discに採用される事となった。